写真はたくさんを取ればうまくなる、そう思っていませんか。またセンスがないとあきらめていませんか。ポートレート(人物撮影)は基本の「き」である構図を覚えれば怖くありません。ポートレート撮影時に、写真家が構図を決める頭の中を覗いてみましょう。
ポートレート写真の構図は大きく分けて、下の4つの視点で考えます。
- モデルの配置
- ズームイン or ズームアウト
番外編で
- NG構図を避ける
- 構図より瞬間を大事にする
1つずつ具体的にみていきましょう。
モデルの配置から見る構図
日の丸構図
真ん中にモデルを配置する構図。主役の女性の存在感が存分に発揮されている写真です。「素人の構図だ」と揶揄されることも多い構図ですが、モデルを主役として表したいポートレート写真にはこの「日の丸構図」が効果的だと言えるでしょう。
日の丸構図の応用:線を入れて奥行きを感じさせる構図
日の丸構図ではありますが、周りに「線」が入ることにより一気に作品性が高まりました。特に一点に視線を集める放射状の線は、2Dな写真の空間を3Dに見せる効果があります。写真に奥行きや動きを付けるとライブ感が高まった写真になるため、写真の腕が上がったように感じますよ。
三分割構図
平たく言えば、画面の左右どちらかにモデルを偏らせて配置する構図です。この時のコツは、上の写真のように画面を縦&横それぞれ三分割した線の交差点付近に、モデルの目をもってくることです。
こうすることで写真の右側に空間ができ、周囲の状況をよく伝えることができます。
部屋でくつろぐと言う全体のバランスが取れている写真。
ズームアウト or ズームイン
ズームアウト
カメラを被写体から遠ざけることをズームアウトと言います。景色や周囲の状況が映るため、解放感を演出したり、モデルのおかれた状況を伝えるのに効果的。この写真もただ被写体が座っているのではなく、青空や緑との親和性を生んだ絵に書いた様な写真となっています。
ズームイン
顔や全身像を撮るだけがポートレートではありません。この様に体の一部に思いっきり近寄る(ズームイン)ことで、私たちが普段みてる日常風景と異なる視界が写真に映し出されます。
動きも強調されて存在感が増します。この時フォーカスしたいものを置く配置も三分割構図を用いたりしてみると、空間のバランスが取れて際立った一枚になります。
NGだと言われている構図
1.モデルの目線方向が行き詰まってる構図
モデルの目線はカメラ目線とは限りません。目線方向に空間がある
三分割構図(モデルが画面のどちらかに偏っている)だけど、視線が空間の方を向いていない。女性の視線の先が窮屈に感じて違和感を感じませんか?
特にランニングなど動きのある写真を撮る際には、こういった動きの流れと空間のバランスは大事にした方が良いと思います。
2.串刺し構図
頭の先に串が刺さったみたいになってる写真、もしくは頭から何か生えているみたいになってる写真。一般的に縁起の悪い写真だと思われていますが、実際さほど気付かない場合もあります。明らかな場合だと不愉快、もしくは滑稽に感じられていますので、頭の片隅に置いておく程度で良いと思います。
3.首切り構図
名の通り人の首が何かで切れてしまっている構図です。特に水平線や地平線で首を切ってしまうパターンが非常に多いです。また足首や手首を切る事もあまり良しとされていません。例えば顔のアップで写真を撮る際には、首で写真が切れてしまうと「さらし首」を連想させて縁起が悪いので控えた方がよさそうです。こういった際はアングルを変えたりするのが得策です。
しかし、首を切る様な顔にクローズアップした写真でも綺麗に纏まっている場合も多々 あるので、神経質になりすぎる必要もありません。
構図よりシャッターが大事になることも
ここまでざっと基本的な構図やNGな構図について紹介してきました。しかし、構図とはあくまで写真を撮る際の「物差し」であって、こだわり過ぎる必要はありません。むしろ構図を気にするよりもシャッターを切ることが大切です。とにかく沢山の写真を撮る。その片隅で、構図を意識しながら表現の幅を広げて自分らしい写真を撮って欲しいと思います。
Point:シャッターを切る事が最重要ですが、もし構図を少しでも考えたいと欲張るなら、なるべくズームアウトして撮る」ことだけでも意識しておくといいでしょう。後からトリミングして寄ることはできます。一方であまりズームインしすぎると 画面から被写体 が外れてしまう場合もあるので注意しましょう。